ヤンキー?なにそれ、美味しいの?

はは、と笑ってまた空を見上げる安達くん。

そんなふうに上手に苺花を突き放す安達くんに、いつも通り負けじとしがみつくのです。


「関係なくないよっ!」


そう言いながら、起き上がり、制服のポケットからゴソゴソとあるものを取り出す。


「じゃーん!絆創膏と消毒!!安達くんがいつ怪我しても苺花が治せるように持ち歩いてるの!」


少しの沈黙のあと、安達くんはため息をひとつ。


「…かわいいな」


呆れたような、面倒くさそうな声で何かを小さく呟いた。


「え?なに?」

「は?あー…なんでもねーよ。」


焦ったような顔をした安達くん。

不思議に思ったけど、特に深追いはせず、苺花は続けた。


「ねえ痛くない?喧嘩って楽しいの?
あのね、苺花、あの日怖かったけど、でもちょっと、ドキドキしちゃったんだよね!」


苺花のキラキラした視線に、安達くんは目を逸らし起き上がった。


「…はぁ、お前には二度と見せねーよ」

「ええー!?なんでー!?」

「うるせえ」


まだまだ、苺花が安達くんの懐に入れる日は遠いようです。
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