夏休みの勲章
「此処を出た俺が言うのもなんですけど、残念です。」


「土地を持っておれば道路も作りやすいし、道路幅を拡張すれば、予定地に引っかかっている家は業者が建て直す。自分達で自分達の手足を食って、何とか凌いでるのがこの田舎の現状じゃよ。」


山羊のお爺さんは、それ以上なにも喋らなかった。


意味はチンプンカンプンな僕でも、パパが辛そうなお顔をしているのはわかる。


「なに、そう悲観することばかりじゃないぞ。面白いもんを見せてやるから、儂の家の後ろに来てみろ。」


そういうと、山羊のお爺さんは杖をつきながら、お家の横から後ろの方へ歩いていった。
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