夏休みの勲章
「なんだ、膝を擦りむいたのか。ちょっと待ってろよ。」


そう言ってお兄ちゃんは、ポケットから絆創膏を取り出して、僕の膝に張りつけてくれた。


「ありがとう。お兄ちゃんって、いつも絆創膏持ってるの?」


「お前はすぐケガするから持っとけって、母ちゃんがウルサイんだよ。」


照れたように鼻の下をこすったお兄ちゃんの姿が、僕にはすごくかっこよく見えた。


「吾妻の爺ちゃんとこで父ちゃんに電話してくるから、都会もんはココで待ってろよ。」
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