十一ミス研推理録 ~自殺屋~
死を覚悟した者がする特有の行動が身辺整理である。家族は娘の異常行動に気づけなかったのだ。
今まで加害者だった少女は、世間の冷たい視線、誹謗中傷の嵐を受けて、人生ではじめて、いじめの被害者の気持ちを理解することができた。
が、それは彼女にとって命を代償にした教育料となってしまったのだ。
いじめを繰り返した少女は、ここまでの事態に発展するとは思いもしなかったであろう。
気に入らないからこらしめただけ、学校に来なくなればいいのに……くらいにしか考えていなかったのかもしれない。
だが、いじめられていた側にとっては、相当深刻な問題だったはずだ。積年の恨みをどうして返してやろうか。ただ死ぬだけでは相手が喜ぶだけ。最強の呪詛をかけて死のう。
少女は、そう考えた末、公開自殺という方法まで行き着いて実行に移した。
しかし、相手が世間の罵倒に負け、自殺するとまでは予想もしてなかっただろう。
そしてそれは、呪詛だけですむという、生易しいものではなかった――
少女が通学していた中学の校長は、いじめを黙認していたという理由で責任を取って辞職、担任も中傷にさらされて退任した。
放送局は学校名を公表しないながらも、連日、少女たちのいた校舎にカメラを向け続けた。
しかし、どんな事件も時がたてば忘れ去られる。この事件も例外ではなかった。
あれほどあった騒ぎも、二週間がたった頃には終息していった。誰もが忘れかけていた。
ところが、炎は鎮火するどころか奥底でくすぶり続け、猛火となる力をつけていたのだ。
【二十五年間、必死に尽くしてきました。残念です。
私の死で、社の方針が変わってくれたら……それが願いです。
みなさんさようなら。お元気で】
少女の時と同様に一人の会社員男性が、自分の最期を公開して自殺した。自殺の理由は不況による一方的な解雇だった。
更にホームページには、会社名と会社員男性の解雇を決定して通告した、社員の名前も公開されており、今度はその会社と名前を公開された社員が誹謗中傷の的となった。
今まで加害者だった少女は、世間の冷たい視線、誹謗中傷の嵐を受けて、人生ではじめて、いじめの被害者の気持ちを理解することができた。
が、それは彼女にとって命を代償にした教育料となってしまったのだ。
いじめを繰り返した少女は、ここまでの事態に発展するとは思いもしなかったであろう。
気に入らないからこらしめただけ、学校に来なくなればいいのに……くらいにしか考えていなかったのかもしれない。
だが、いじめられていた側にとっては、相当深刻な問題だったはずだ。積年の恨みをどうして返してやろうか。ただ死ぬだけでは相手が喜ぶだけ。最強の呪詛をかけて死のう。
少女は、そう考えた末、公開自殺という方法まで行き着いて実行に移した。
しかし、相手が世間の罵倒に負け、自殺するとまでは予想もしてなかっただろう。
そしてそれは、呪詛だけですむという、生易しいものではなかった――
少女が通学していた中学の校長は、いじめを黙認していたという理由で責任を取って辞職、担任も中傷にさらされて退任した。
放送局は学校名を公表しないながらも、連日、少女たちのいた校舎にカメラを向け続けた。
しかし、どんな事件も時がたてば忘れ去られる。この事件も例外ではなかった。
あれほどあった騒ぎも、二週間がたった頃には終息していった。誰もが忘れかけていた。
ところが、炎は鎮火するどころか奥底でくすぶり続け、猛火となる力をつけていたのだ。
【二十五年間、必死に尽くしてきました。残念です。
私の死で、社の方針が変わってくれたら……それが願いです。
みなさんさようなら。お元気で】
少女の時と同様に一人の会社員男性が、自分の最期を公開して自殺した。自殺の理由は不況による一方的な解雇だった。
更にホームページには、会社名と会社員男性の解雇を決定して通告した、社員の名前も公開されており、今度はその会社と名前を公開された社員が誹謗中傷の的となった。