箒星
。+1年生の春+。
好きな人は彼女持ち
【紗柚】
中学1年の春。
あたしは恋をした。
「あの、コレ落としたよ?」
入学式が終わって、小学校の時から仲良しだった
柏木 愛美 [カシワギ マナミ]
と教室に向かっていたら誰かに声をかけられた。
振り向くとそこには細くて髪の長い女の子がたっていた。
「コレ。アナタのでしょ?」
その子は笑顔であたしのハンカチを掲げた。
「あっうん。ありがと」
あたしが笑い返すと
「転入生?」
愛美は低い声で質問していた。
「うん。太田 千尋 [オオタ チヒロ]千尋って呼んでね。よろしく」
「あたし、小澤 紗柚[オザワ サユ]紗柚でいいよ。よろしくね。千尋は何組?」
「A組だよ。紗柚は?」
「あたしもA♪」
「やったー」
千尋は嬉しそうに飛び上がっていた。
「紗柚行こ。遅刻する」
「あっ!千尋も一緒に行っていい?」
千尋が笑顔で聞いてきたからあたしも笑顔で
「いいよ」
と返した。
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