美男子の恋事情!
あいつ空気読めよ!なんて心の中で悪態を吐きつつ、気持ちが焦る。だけど。
「……集合だって…じゃあ私、もう行くね」
「あ、ちょっと……っ!」
俺の言葉も聞かず、春川さんは、バイバイ、と背を向けて行ってしまった。
その表情に影を落として。
違う。迷惑なんかじゃない。
そんなこと思うわけがない。
凄く嬉しかった。
君が観に来てくれたって気付いた時、心臓がおかしくなるぐらい嬉しかったんだ。
君が、君のことが…好きだから。
春川さんの影が落ちた泣きそうな表情を思い出して、胸の奥がズクンと痛む。
くそっ‼︎なんで俺はいつもこうなんだ。
何が硬派系イケメンだよ……
ただの情けない男じゃねぇか。
いざという時に何も言えなくて、顔も見れなくて……ホント、だせぇ。
どんどん小さくなる彼女の背中を見つめながら唇を噛み締める。
目を細め真っ白な頬を染めて笑う君を好きになった。
俺は君にそんな暗い顔をさせたいわけじゃない。
華のようなふんわりと柔らかい笑顔が、君には似合う。
だから、笑って。
俺の前で。俺だけの前でーーー。