美男子の恋事情!
②
俺が春川セイラと出会ったのは高校1年の春に遡る。
櫻川高校にスポーツ推薦で入学した俺は、当時テニスに関しては自信に満ち溢れていた。
中学では負けなし。
先輩達を抜いて、中一からレギュラーだった俺は天狗になってたのかもしれない。
シングルスで全国三位になったことだってある。
そんな俺は、もちろん全国区の櫻川でだって一年から一軍メンバーに入ってやると。
一軍に入ることなんて余裕だろうと、甘くみていた。
だけど、現実はそんなに甘くはなかった。
先輩達との実力の差に愕然とした。
これが高校生。
これが全国区の櫻川。
どんなに走って、汗を流して足掻いても、一軍の先輩達には足元にも及ばない。
天狗になった鼻をいとも簡単にへし折られ、俺は初めて挫折を味わった。
“中学ナンバーワンでも所詮中学レベル”
“あんま調子に乗んなよ”
一部の先輩達から浴びせられた言葉に、何も言い返せなかった。