美男子の恋事情!
もう辞めてしまおうか。
こんなに苦しい思いをしてまで続ける必要があるのだろうか。
……俺はこの先どうしたらいい?
問い掛けても問い掛けても答えは出なかった。
『ふっ…はははは……アホらし』
誰に問い掛けてんだよ。
神様でも仏様でもいると思ってんのか?
俺もとうとう落ちるとこまで落ちたな。
自分の馬鹿さ加減に呆れて足元に目を移す。
雨はどんどん強くなっていく。その時。
今まで俺を容赦なく打っていた雨が止んだ。
いや、止んだんじゃない。
俺の周りだけ、雨が避けているんだ。
すぐに上を向くと、見えたのは黒い雲じゃなく、淡いピンク色の傘。そして。
『大丈夫ですか?』
曇りがなく、柔らかい、透き通るような女性の声。
振り返ると、そこにはセーラー服を着た同い年ぐらいの女の子が俺を心配そうに眉を下げて見ていた。
この制服は確か、中津川女子高校の制服だ。
『大変!びしょ濡れですよ。ちょっと待って下さいね』
彼女は傘を持ちながら鞄の中を漁り、ハンカチタオルを取り出した。
『早く拭かないと風邪引きますよ』
そう言って、俺の額を必死で拭いてくれる。