美男子の恋事情!
③
門から出てくる沢山の女子。
『ねぇ、あの人誰待ち?』
『ってか、凄く格好良くない?』
『彼女いるのかな?』
彼方此方からそんな声が聞こえる。
いつの間にか俺の周りにはギャラリーが出来、俺のイライラは頂点に達しそうだ。
くそっ、早く出てきてくれ!春川セイラ!
中津川女子高校の正門脇で、壁に凭れて待つこと二十分。
未だ彼女の姿はない。
手にはピンクの傘。
これを持ってるだけでもかなり恥ずかしいのに、ましてや女子校の前で堂々と待つなんて。
顔から火が出るほどだ。
少し場所を変えようか。
今思えば、この前会ったとこで待ってれば良かったんじゃないか?
今からでも遅くない。
そうと決まれば早速、と数メートル歩いた時。
『あれ?この間の……?』
待ち望んでいた彼女の声が聞こえた。
振り返ると、春川さんが不思議そうに俺を見ていて。
失礼だけどその顔が間抜け過ぎて、思わず、ふっ、と笑ってしまった。