美男子の恋事情!
確かに、あの人はわかりにくい。
インテリで、眼鏡の奥の目が一体何を見て何を思ってるのか読めないし。
冷たい感じに見える。
春川さんはコロコロ表情変えて可愛らしいけど、部長は表情を滅多に変えない。
だけど、そんなインテリ部長でも、部員からの信頼は厚く、俺も決して嫌いじゃない。
むしろ部長のことはテニス面でも先輩としても尊敬してる。
『大会には出るんですか?』
『いや、俺はまだ一軍じゃないから』
まだまだ先輩達には及ばない。
もっと練習して経験を積まないと、あの人達には勝てない。
今だって先輩達の背中は手が届かない遠くに見えるというのに、少しでも足を止めたらすぐに背中が見えなくなる。
『そうなんですか…櫻川のテニス部は強豪ですからね。一年で一軍入りする人なんて数年に一度らしいですし』
『頑張って下さいね!』と、ガッツポーズをする春川さん。
俺って単純だ。
彼女がそう言っただけなのに、素直に頑張ろうって思った。
闘志が漲ってくる。
『あのさ、もし一軍入りしたら……試合観に来てくれる?』
『え?』