美男子の恋事情!
④
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「そんな落ち込むなよ。ちゃんと話せば誤解だってわかってくれるって」
電車に揺れること数十分。
ドアの脇に凭れて移りゆく景色をボーッと眺めていると、俺の反対側に同じように立つ拓真が言った。
「別に落ち込んでない」
拓真に慰められるのがなんか癪で素っ気ない振りをするけど、内心は凄く焦ってる。
春川さんの影の落ちた暗い顔を見て…あんな顔をさせて、焦らないわけがない。
誰よりも大切な人を、俺が悲しませてしまったんだから。
「ったく、不器用な奴」
拓真の言葉を聞いてない振りして、これからどうしようか考える。
とにかく春川さんに会いに行こう。
俺は彼女にあんな顔をさせたいわけじゃない。
笑っていてほしいんだ、俺の前で。
春川さんに傘を返した日、俺達は連絡先を交換した。
他愛のないメールのやりとりをして、それだけで満足してるわけじゃないが、なかなか進展はなく時は過ぎた。