美男子の恋事情!
「さっきの海生の勇姿、セイラちゃんは見てくれたかね」
シッシッシッと気持ち悪く笑いながら、軽々しく彼女の名前を呼ぶ拓真の膝裏に一発蹴りを入れる。
「痛っ!何すんだよお前!」
本気で痛がる拓真。
そりゃ、当然だ。
本気で蹴ったんだから。
「拓真が悪い」
俺だって名前で呼んだことねぇのに。
しかも“ちゃん”付けって馴れ馴れし過ぎだし。
「ったく、そんな怒んなら早く自分の物にしろつーの」
ぶつくさと小言を言う拓真を置いて、集合場所に向かう。
俺だって拓真に言われなくても、自分の物に出来てればとっくにしてる。
だけど、彼女を前にすると上手く喋れなくなるんだからどうしようもない。
「そんな簡単なことじゃねぇんだよ、バーカ」
拓真の能天気さと自分の意気地のなさにイラッとする。
拓真みたいに、誰とでもすぐ仲良くなれる才能がある奴がホント羨ましい。