美男子の恋事情!
①
「で、上手くいったわけ?」
我が櫻川高校テニス部の全国大会出場が決まってから二日。
俺、長谷川拓真の幼馴染、板野海生の恋事情にも進展があった。
「まぁな」
俺の問いに、口元を綻ばせる海生。
昨日、海生が一年前から好きだった他校生の春川セイラちゃんとやっと上手くいったようで、今日の海生の機嫌がすこぶる良い。
昨日なんて本当に最悪で、背後から負のオーラが出てて近寄り難かったっていうのに。
「まぁな、じゃねぇよ。誰のお陰だと思ってんだ?顧問に説明すんの大変だったんだぞ。感謝しろよ?」
海生はテニス部のエース。
あんなテンションで部活に出られたら、他の部員にも影響が出兼ねない。
こんな俺でも、一応テニス部の部長だし。
部のことは大切に思ってる。
全国大会に向けてこれから更に盛り上げてかなきゃなんないのに、海生ときたら恋愛ごとでウダウダしてて全く櫻川のエースとしての自覚がないときた。