美男子の恋事情!
「たっくまー!海生ー!」
噂をすれば。優奈の登場だ。
「二人共おめでとう!ホント感動しちゃった。海生のマッチポイントのサーブなんて涙もんだったよ!」
「涙もんって大袈裟だろ」
「大袈裟なんかじゃないっ!海生のテニスは本当に世界一綺麗なんだから。拓真も見習いなさいよー」
優奈が拓真の肩をバシッと叩く。
「いってぇな。余計なお世話だ」と本気で痛がる拓真に、優奈はふんっと鼻を鳴らして「拓真は海生の爪の垢を飲んだら?」と一蹴した。
あーあ、また言い合いが始まるよ……
なんでこの二人はいつもこうなんだ。
巻き込まれる前に退散しようと、歩くペースを上げた時。
「あ、セイラちゃん!」
拓真の声に足を止め、すぐにその視線の先を追った。
「え?何処何処?」と優奈までもが彼女の姿を探している。
「ほら、あそこだよ!さっき海生が試合してた第三コートの入口んトコ」
「あ‼︎ホントだ!いるいる!」
集まる女が邪魔でよく見えない。
くそ、と心の中で舌打ちをしながら彼女の姿を探す。
……いた……っ!
拓真が言った通り、第三コートの入口に俺が想いを寄せる春川セイラ(ハルカワ セイラ)の姿があった。