美男子の恋事情!


「優奈は十分可愛げあると思うけど」


「……どこが?」



練習を終えて部室で着替えていると、海生の発言に耳を疑った。



優奈に可愛げがあるってところじゃない。


海生がセイラちゃん以外の女子をそんな風に言うのは初めて聞いたからだ。



「拓真と同じ高校入りたくて猛勉強したり、陸部の方が早く部活終わってもああやって健気に待ってたり」



そう言って、海生は窓の外を顎で指した。



空がオレンジ色から群青色に染まろうとしてる。


花壇の花がそよ風に揺れた時、優奈の髪がふわっと靡いた。



「どんなに言い合いしても、優奈はああやって拓真を待ってる。あれの何処が可愛くないんだ?」



返す言葉がなかった。


確かに、どんなにテニス部が遅くても優奈は待っててくれる。


どんなに待たせても怒らないで、笑って「お疲れ」って言ってくれる。


海生の言う通り、優奈のそういうところ可愛いと思う。



けど、海生に言われると、素直に「そうだな」って言えない自分がいる。



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