美男子の恋事情!

俺はいつも二番手だった。


テニスも、足の速さも、小学校の卒業アルバムに載った格好良い人ランキングでも。


俺の前には常に海生がいて、優奈はいつも俺じゃなく海生を「凄い凄い」って褒めた。



海生のことは好きだ。


幼馴染として、親友として、最高の奴だと思ってる。


だけど優奈が絡むと、俺は海生にイラッとしてしまう時があった。



たまに思う。


優奈はなんで海生じゃなく俺なんだろうって。


近くにパーフェクトな男がいながら、いつも二番手のヘタレな俺を好きになる理由なんて何処にも見当たらない。



「部長、お疲れ様でした」



後輩が次々に帰っていく。


俺もロッカーに鍵を掛けて帰ろうとラケットバッグを担ぐと、ずっしりとした重みに肩がきしっと鳴った気がした。


ラケットが三本に、着替え。教科書数冊。


中はそれだけなのに、部長、と言われる度にいつも重く感じる。



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