美男子の恋事情!
「なら、優奈を泣かせんなよ。辛い思いさせておいて彼氏面すんな」
返す言葉がなくて、ギリッと歯を噛み締める。
むかつく。一番手の余裕ってやつか?
海生に優奈のこととやかく言われたくない。
「海生に何がわかんだよ!何でも一番のお前に、俺の気持ちなんてわかってたまるか‼︎」
裏庭に俺の叫びが響く。
海生はピクリとも表情を変えない。
いつもそうだった。
俺と試合した後も、勉強で良い点を取っても、優奈に褒められても。
海生はいつも表情を変えない。
余裕、自信。そんな顔だ。
「……俺のせいか?」
海生が静かに言う。
そうだ。海生のせい……
なわけ、ない。
俺のせいだ。俺がしっかりしないから。
俺がちゃんと自分を持てばいい、ただそれだけのことなのに。
「……悪い。八つ当たりした」
最悪だ。親友に当たるなんて。
「ちょっとイライラしてたわ」
「別に俺はいい。でも、優奈のことはちゃんとしてやれよ。昨日……」
海生はそこで言葉を止めると、何かを考えるように眉を寄せた。