美男子の恋事情!
「あ〜‼︎もう!鬱陶しい‼︎」
「は?」とイライラ声の優奈を振り返ろうとした時、優奈に背中をバチンッと叩かれた。
「ゔお…お前何すーー、」
「いじいじしてないで早く行ってこい‼︎」
優奈は両手を腰に当てて、「ほんっと世話が焼けるんだから」と鼻から息を吐いた。
ったく、優奈は短気ですぐイライラしすぎなんだよ。
叩かれた背中、めっちゃヒリヒリするし。この怪力女が。
でも、今の一撃で固まってた身体が自由になった。
「ああ、行ってくる」
ホント俺って情けない。
喋れなくなったり、身体が動かなくなったり。
自分がこんなにシャイだとは思わなかった。
彼女の元へ走る。
ヒューヒューと茶化してくる拓真を無視して、春川さんだけを見つめて。
集まった女達が何事かと道を開ける。
「握手して」と近寄ってくる奴もいれば、目を輝かせてきゃあきゃあ騒ぐ奴もいるけど、俺の目には彼女しか映らない。
春川さんの前で足を止めて異様に上がった息を整えていると、彼女がくすくすと笑った。
「そんなに走らなくてもいいのに」
春川さんの声は心地いい。
胸にシンと浸透してきて、奥の方を温めてくれる。
それに、クスクスと目を細めた笑顔が一瞬で俺の胸の高鳴りを絶頂まで押し上げた。
ああ、ヤバい。やっぱ可愛い。
その笑顔を俺だけのものにしたい。