美男子の恋事情!
「拓真と海生は遅刻したら校庭百周だかんなー!」
「はぁ⁉︎まじ?」
「俺は嘘はつかん」
大ちゃんは誇らしげな顔をすると、腕時計をわざとらしく見た。
「言い忘れてたけど、連帯責任な。あと一分だぞ」
「やべっ‼︎海生、優奈、走るぞ!」
「59〜、58〜、57〜」と大ちゃんのカウントダウンが始まる。
優奈と手を繋ぎ、走り出す。
海生は俺らの前を行き、それを追い掛ける。
相変わらず姿勢が良い。
走り方も綺麗だし、速い。
風を切るように走る。
そういえば、昔よく三人で走ったっけ。
五時の鐘が鳴る前に帰る約束で、公園から猛ダッシュする俺達。
いつも海生が一番速くて、俺はいつもその背中を追っていた。
手を伸ばして捕まえようとしても、どんどん遠ざかる背中。
悔しくて悔しくて堪らなかったけど、後ろから優奈が「待ってよぉ」って泣き出して俺と海生は足を止めた。
「仕方ねぇな」って言いつつ、俺達は優奈の両隣りに並んで。
三人で手を繋ぐ。