美男子の恋事情!
夕日が俺達の影を作る。
仲睦まじき幼馴染。
懐かしいな。
いつから三人並んで手を繋がなくなったんだろう。
前は優奈を真ん中に三人並んでたのも、いつの間にか海生は俺の隣りか一人前を行くようになった。
海生なりに気を遣って、俺と優奈を二人にしようとしてくれてる。
不器用なくせに。わかりにくいんだっつーの。
「おい!拓真、優奈!スピード上げねぇと間に合わないぞ」と振り返って海生が言う。
「私はいいから、二人とも置いてって」と優奈。
「バーカ。置いてけねぇよ」と俺がさらにキツく手を握ると、海生が戻ってきた。
優奈の隣りに。
「拓真。恨むなよ」とニッと笑うと、優奈の反対側の手を取る。
「行くぜ!」
久しぶりに三人並んで走る。
ぐんっとペースを上げて。
やべぇ。すげぇ楽しい。
海生も、優奈も、俺も。
昔のように「キャハハ」と笑う。
やっぱ幼馴染って最高だわ。
だけど。
ーーーキーンコーンカーンコーン。
「はい。お前ら校庭百周決定な」
昇降口の一歩手前で惜しくもチャイムが鳴り、教室で待ち構えていた大ちゃんにそう告げられたのは言うまでもない。