美男子の恋事情!
①
俺が担当する生物の教科室がある特別棟校舎三階の廊下。
滅多に生徒も他の教員も来ないここは、俺の絶好のサボリポイントだ。
学校がやや丘に位置してることもあって、窓からの眺めは最高。
特にここからの朝日は格別で、ある時から毎朝ここに来るのが日課になっていた。
「俺は拓真のこと羨ましいけどな」
ある日、その廊下の窓からいつものように外を眺めていると、すぐ下にある裏庭から聞き慣れた声が聞こえ顔を覗かせた。
そこには俺が受け持つテニス部の部長、長谷川拓真とエースの板野海生が、何やら不穏な空気を纏って対峙していた。
幼馴染で仲が良い二人の対立に、俺は聞き耳を立てた。
カリスマ性、スター性を持つ海生。
周りをよく見てチームを纏め、部員から信頼の厚い拓真。
この二人が仲違いしたらテニス部は終わりだ。
「は?俺の何処が?」
「人脈あるし、コミュニケーション能力高いし。信頼されてるだろ、お前」
「人と話すのは確かに好きだけど」
「春山部長が拓真を次期部長にした理由、わかってねぇだろ?」
あー、それ。俺も思ってた。
海生の言葉を聞いて、一人でうんうんと頷く。