美男子の恋事情!
「拓真、ニヤニヤして気持ち悪い」と場を和ます霧島。
「優奈うっさい」と顔を赤らめる拓真。
そんな二人を見て二ヒヒと嬉しそうに笑う海生。
ふ。青春だな、これは。
幼馴染三人の輝かしき思い出の1ページ。
「おい!お前ら、もうチャイム鳴るぞ!」
俺は三人に声を掛ける。
今は邪魔したくなかったけど、時間はどんな時も止まらない。
無情にも、残酷にも、針は一秒一秒しっかりと時を刻む。
例えそれが人生で一番嬉しい時でも悲しい時でも。
それを俺はよく知ってる。
こんなんでも俺は一応教師だ。
目の前で遅刻する生徒を放っておくわけにはいかない。
海生と拓真には遅刻したら校庭百周だと告げると、三人は仲良く走って行った。
ギャハハと楽しそうに笑いながら。
「あいつら、馬鹿みてぇ……」
お前らが羨ましいよ。
俺にはもう戻って来ない青春。
もっと大事に過ごせば良かったと思う。
もしあの時、一秒一秒を大切に思っていたら、未来は変わったかもしれない。