美男子の恋事情!

「大ちゃん。どしたの?」



三人の声が聞こえなくなった時、突然俺の背中に温もりを感じ、お腹に華奢な腕が回った。



「春香。学校では先生って呼べって言ってるだろ」


「えー。いいじゃん。今誰もいないんだし」


「駄目だ。あと襲われたくなければ安易に男に抱き着くな」



そう言って、俺に巻き付く腕を解くと抱き付いてきた女生徒、近衛春香(コノエ ハルカ)と向き合った。



「大ちゃんになら襲われてもいいもん」と頬を膨らませる春香に、「馬鹿」と軽くデコピンを食らわす。



「いたーいっ‼︎」


「春香が悪い」


「大ちゃんだって私の事名前で呼ぶじゃない」


「俺はいいの。お前みたいにヘマしないで使い分けられるから」



春香は「ちぇ」と子供みたいに拗ねる。



「ほら。もうチャイム鳴るぞ。早く教室行け」



そう春香に言うけど、春香は返事をしない。


ったく、何をそんな拗ねてんだっつーの。



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