美男子の恋事情!
『大ちゃんの馬鹿!鈍感!変態!』
そう大声を張ると、春香は生物室を飛び出した。
何なんだ?あいつは。全く意味がわからん。
あいつのことだからヤキモチだろうけど、ヤキモチを妬かれても困る。
ただ教師が生徒に勉強を教えていただけなんだから。
ってか、変態って……酷い言い様だな。
俺は何もしてねぇし、何もするつもりもねぇよ。
『ガキ』と、春香が思いっきり閉めたドアに向かって呟いた。
「ああ、別に。いつものことだろ」
やけにしゅんと落ち込んでる春香の頭をポンポンと軽く叩くと、パァッと花が咲くように笑った。
どうやら元気が戻ったようだ。
単純。ホント、こいつは昔から世話の焼ける奴だ。
「ほら、もうチャイム鳴り終わったぞ」
「うん!」
春香は手を振りながら走って行く。
手を軽く挙げてそれに応えながら思う。
春香も、“今”の時間を充実したものにしてほしいと。
俺なんかで良い時を無駄にすることなんてない。