美男子の恋事情!

春香は俺の幼馴染、近衛麻里香(コノエ マリカ)の10歳離れた妹だ。


俺から見ても春香は妹的存在で、いつも俺と麻里香の後ろをくっついて来ていた。


麻里香はお淑やかで清楚な感じだったが、春香は真逆。


活発でサバサバしてて、小学校の時は男子と混ざって遊んでいつも泥だらけだった。


時には喧嘩してボロボロになって、『泣くもんかっ』って目尻に涙を浮かべて。


俺が頭を撫でてやると、うわーんと声を上げて泣いてたガキ。


だったのに……



そんな春香の異変を感じたのは、あいつが中学生になって少ししてからで、俺は当時23歳の新米教師だった。


急に目を合わせなくなった。


話し掛けても『うん』とか『あっそ』しか言わない。


外で会っても知らん顔するし、春香の家にご飯を食べに行っても俺がいる時はリビングにすら降りてこない。



こんのクソガキっ!と、とうとうキレた俺は、春香の部屋に乗り込んだ。


『勝手に入って来ないでよ!』と目を逸らす春香の肩を掴み、無理矢理俺に向かせる。



『お前の最近の態度、何なんだよ』


『うっさいな!離してよ!』



そう言って、春香は俺の手を払いのけると、部屋を出て行く。



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