初恋ナミダ。
暗く考えないようにと、私は手を洗いながら今日の夕食のことを考える。
今日は久しぶりに両親が早く帰宅する。
だから、一緒に舞子のお見舞いに行ってから外食しようという予定なのだ。
夕方5時に病院で待ち合わせ。
時間まで何をしようかと、何気なくスマホを鞄から取り出す。
そして、ロックを解除した先に見つけたのは、母からのメール。
『ごめんね。お父さんもお母さんも、会議が入って今日はダメになっちゃった』
またか……と、私は心からうな垂れた。
今日だけはキャンセルにして欲しくなかった。
それこそ勝手かもしれないけど、嫌な気分を消せるような楽しい時間を過ごしたかったのに。
だけど、ここでワガママを言ったら親を困らせるだけだから。
『わかった。頑張ってね』
私は自分の気持ちに蓋をした。
昔はこんなんじゃなかった気がする。
お母さんは、もっと私たち姉妹のことを気にかけてくれてて、お父さんも休日は私たちを色んな所に連れ出してくれてた。
……いつからだろう。
幸せだなって、心から思えなくなったのは。
家にいることを、苦痛に思うようになったのは。