初恋ナミダ。
ああ、ダメだ。
しっかりしなきゃ。
後ろ向きな気持ちでいたら、病院に行った時に舞子の前で笑えなくなる。
気分、変えよう。
そうだ……図書室のあの席に行こう。
そう思い至り、下校や部活に向かう生徒たちの合間を縫って歩みを進めたのだけど。
「……なんか、やばい、かも」
鼻がツンとして、涙が込み上げてきてしまった。
こんなところで1人で泣き出すわけにはいかないと、私は慌てて近くにあった印刷室の扉をあけて中に入る。
幸いにも人の姿はなく、私はコピー機に隠れるようにそっと腰を下ろし、膝を抱えた。
「今日はついてないなぁ……」
弱音を零し、自嘲するように小さく笑う。
唇が震え、噛み締め、涙を堪えて。
大丈夫、大丈夫と気持ちを落ち着けようと心の中で呟いてた時だった。
ガチャリと扉が開く音がして、肩が跳ねる。
ここから出て行くか否か。
悩んでいたら、私の上から影がさして。
「……宮原? こんなところでどうした?」
かけられた声にまさかと顔をあげれば、そこには、さっき女生徒たちに話題にされてた相手である椎名先生が私を見下ろしていた。