初恋ナミダ。
*絆創膏
「おはよ」
なんて、口に出してみたものの、家の中にいるのは私1人だ。
朝の支度を終えて入ってダイニング。
木製の白いテーブルの上には、小さなメモ帳が置いてある。
『お母さんとお父さんは今日も遅いからよろしくね』
母の字で書かれたそれを手にし、私は何がよろしくなのかを考えた。
1日の食事の事。
たまり始めた洗濯物の事。
妹のお見舞いの事。
考えれば色々と思い浮かぶけど、そのどれもだろうと考え、私はメモ帳を生ゴミ入れに捨てた。
それにしても、平日はほぼ毎日テーブルの上に置かれているこのメモ帳。
書いてある内容も毎日似たようなもので、時々頼みごとが追加されているくらいなんだけど……
こうして、読まれたら捨てられるだけなのでもったいない気がしてならない。
メールでもいいと言った事もあるんだけど、母いわく「手書きだからこそいいのよ」らしい。
母と子の温かいコミュニケーションとも話してたけど、正直、こういうところにそれを求めてはいないんだけどな。