初恋ナミダ。
特別講義が行われる教室に到着する。
引き戸は開いたままになっていて、生徒の声が廊下にまで響いていた。
誰か友達はいるかな?
そう思いながら教室に入れば、そこには30名程の生徒がいた。
比率的には三分の一が男子。残りは女子で、残念ながら普段仲良くしてる友達の姿はない。
ていうか、女子の中には私みたいに椎名先生に会いたいからという目的で参加してる子もいるんだろうなぁ。
──と、教室内を見渡していた私の視界に飛び込んできた人物に目を見張る。
窓際、一番前の席に横並びに座る3人の女生徒。
少し考えれば予想は出来たことだった。
だって彼女たちは、私に嫌がらせをしたくらいには、椎名先生を気に入ってるんだから。
私は、プール掃除を押し付けてきた3人組と目を合わせないようにしながら、彼女たちと離れた廊下側の空いてる席に座る。
鞄から筆記用具を取り出して机の上に置いて。
これから週1、椎名先生に会える幸せと引き換えに、あの3人がいることに耐えなければならないのかと、気落ちしながら、チラリと視線を彼女たちに向けたら。
──バチリ。
うっかり目が合ってしまった。
しかもすでに睨まれている。
チラチラ睨みながら何か話していて、間違いなく私のことなんだろうと予想しながら、私はそっと視線を外し、椎名先生が来るのを待った。