初恋ナミダ。
確かに、くるみのお兄さんは恋愛のイメージからはちょっと遠い感じの人だ。
色は白く、オシャレにも興味がない雰囲気だし、人と接するのも得意そうではない。
何度も会っている私にも、笑顔もなく挨拶のみで、すぐに部屋にこもっている。
くるみの話しによると、彼女さんは同じ大学の人らしい。
恋人、か……
正直ちょっと羨ましいな。
私は、どんなに想っても先生とそんな関係にはなれないだろうから。
両手で包むように持っている天然水が入ったペットボトルを見つめながら、私は声を落とす。
「……くるみはさ、恋してる?」
くるみは自分の恋愛話しをあまりしない。
中学の時に気になる人はいたとか聞いたことはあるけど、最近はどうなんだろ。
「恋ねー。リアルはさー、色々面倒な感じというか、今はまだ漫画が恋人というかー」
私は、興味がないような口ぶりで話すくるみに首を傾げた。
「つまり、好きな人はいないんだ?」
「いたら遥に話してるって」
何気ないくるみの言葉に私は口元に笑みを浮かべた。
こんな風に言ってもらえるのは、くるみが心を許してくれてる証拠だ。
その事が凄く嬉しい。