初恋ナミダ。


ふ、不自然過ぎたかな?

けれど、今更また振り向いて挨拶するのもおかしいと思い、悠馬の腕を掴むと早歩きで生徒玄関を目指した。


「な、何だよ急に」


驚き困惑している悠馬に、私は「何でもないよ」と返す。

でも、その声色はちょっと固くて、自分で言っておきながらなんだけど、何もないようには思えないもので。

それは悠馬にも伝わっていたのか。


「あるだろ。キョドリ過ぎだしさ」


そう言われてしまった。


「そ…だよね……」


こんな態度、先生だって変に思ってるはずだ。

実際、ここ最近のぎこちない私を見て、先生が訝しげな視線をよこしてくることもあったし。

本当は、もっと自然に適度な距離を保ちたいだけなんだけど……

意識し過ぎて、うまくいなかい。


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