初恋ナミダ。


……まずは謝ろう。

そう考えて、気づかず俯いていた顔を上げた時。


「理由はわからないが、もういいのか?」


今度は、私の目を見ながら問いかけてきた。

近くで先生と目を合わせるのは久しぶりで、トクンと心臓が反応したのを感じながら、私はゆっくりと言葉を紡ぐ。


「よく……ないかもしれないけど、葛城さんにアドバイスもらったから」

「アキから?」


ここで葛城さんの名前が出たのが意外だったんだろう。

僅かに眉を寄せた椎名先生に、私はひとつ頷いた。


「昨日、学校の前で会って」

「ああ……そういえば、話し相手がどうとか言ってたな……」


どうやら先生は葛城さんから私に会ったことを聞いていたらしい。

どこまでどんな風に聞いてるのかはわからないけど、この感じだと迷惑云々は伝わってないようだ。


「ごめんなさい。避けたりして」


とにかく、これだけはちゃんと言わなければいけないと気持ちを込めて謝る。

すると、先生はそっと頭を振った。


「いや。もし原因が俺にあるのなら──」

「違う! 先生は何も悪くないの。だから、私がごめんなさいなんだ」


だから先生は気にしないで。

心の中で続ければ、先生は数秒、私を見つめた後……


小さく頷いて、頭を撫でてくれた。


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