初恋ナミダ。


「おばさんたちは?」

「お母さんは仕事。お父さんはゴルフ」

「相変わらず忙しいんだな」


悠馬の言葉に「そうみたいだね」とどこか他人事のように返す。


「珍しいじゃんか。そういう言い方」

「……そう?」

「なんかあったんだろ」

「ちょっとね……」


消え入りそうな声で答えてから、ついため息を漏らすと、悠馬が気遣うように笑んだ。


「……平気か?」

「うん。今は悠馬のおかげでね」

「あー、俺、癒しパワーあるもんなー」

「逆でしょ。騒がしいから気が紛れるの」


おちゃらけた態度に、ざわついていた心が和らぐのを感じて、私は微笑みを浮かべた。


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