初恋ナミダ。


程なくしてマフィンが焼きあがり、少し冷ましてからアイスティーと一緒にテーブルに並べる。

なんとなく点けたテレビを観ながら2人でマフィンを頬張っていたら、悠馬が2つめのマフィンに手を伸ばしながら……


「お前さ、椎名のこと好きなんだろ」


唐突に聞いてきた。
おかげでマフィンが喉につかえてしまう。

急いでアイスティーで流し込めば、悠馬は「わかりやすすぎ」と呆れたように突っ込む。


「相手センコーじゃん。無理だろ」

「……別に、いけるとか思ってないよ」


アイスティーの入ったグラスを両手で包みながら答える。

手のひらに感じる冷たさが、自分の吐露した言葉まで冷やしていくみたいだ。

先生への想いは温かいのに、その未来は……


「とにかく、やめておけよ」


悠馬は釘をさすと、2つめのマフィンも平らげた。


「もう……遅いよ」


膨らんだ想いは、簡単には萎まない。


「……望み、ねえのに?」

「うん。それでもいいんだ」


気持ちはもう、止められないから。

例え、先生が他の人を好きでも、七瀬さんを忘れられなくても。

それでも。


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