初恋ナミダ。
「私、私服じゃん」
そうなのだ。
今日は休日なので私服。
学校は制服を着用していないといけない校則があり、この格好では入れないのだ。
これでは先生を探すどころか、勉強の為に開放されている図書室に行くこともできない。
仕方ないから、元々行くつもりでいたまん喫にでも……と、先生に会えない残念な気持ちを持ちながら踵を返そうとした時。
「……あ!」
私は、校門の向こうからこちらに向かって歩いてくる椎名先生を見つけ、目を輝かせた。
椎名先生も私に気づいたらしく、宮原、と口にし校門をくぐり出ると私の前に立つ。
「先生、今日もお仕事?」
「ああ。少し残ってた仕事があったからな。それだけやりに」
「そうなんだ。お疲れ様です」
会えたのが嬉しくて、頬が緩んでるのが自分でもわかった。
「宮原は? 部活やってないだろう?」
問われて、答えを用意していなかった為に「やってないですよ」としか返せない私。
家出中ですなんて心配かけそうで言えるわけないし、先生に会いたくても言えるわけない。
そもそも私服でここにいること自体がレアなケースなのだ。