初恋ナミダ。
「そんなの聞いてみなくちゃわからないよ。じゃあまずはー」
「俺に拒否権はないのか」
「ありませーん」
そうして、私は半ば無理矢理先生のことを尋ねていく。
そんな私に、先生は渋々といった様子で答えてくれた。
お気に入りのアーティスト。
子供の頃の好きだった遊び。
最近見た映画。
思いつく限り、色々。
そのうち、先生はパソコンを閉じて私の向かいに座った。
いくつ目の質問だっただろう。
コーヒーを片手に足を組む先生に、10年後の自分に一言、なんて、どっかのテレビ番組でしてそうな質問をしてみた時……
「……謝れたのか……許して、もらえたのか」
椎名先生は、瞳を翳らせ、今にも消え入りそうな声で言った。
何を、なんて聞かなくても想像はつく。
七瀬さんのことなんだろう、と。
けれど、どう反応していいのかわからず、私はただ曖昧に微笑んだ。
七瀬さんはもう死んでしまっている。
だから、本人に謝ることも、許してもらえたかを確認することも不可能だ。
どうしたら、先生は過去じゃなく未来を見れるんだろう。
私に何かできることってないのかな……