初恋ナミダ。
駐輪場に向かいながら、少し前を歩く悠馬が振り返る。
「舞子ちゃん、調子は?」
「うん、いいよ」
私の返事に悠馬は「良かったな」と微笑んだ。
舞子は冬が本格化する前に退院し、今のところ再入院にはなっていない。
小学校の卒業式にも無事に出れたし、中学の入学式も出席できて。
色々と制限はあるけれど、舞子は楽しそうに中学校に通っている。
ちなみに、私と親との関係は、少しずつだけど改善されていた。
甘える、とまではいかないけど、あまり我慢ばかりせず気持ちを打ち明けるようにしたら、父も母も思うところがあったのか、時間を作ってくれて話し合うようになったのだ。
家族が支え合い、助け合いながらうまくやっていけるようにと。
これも先生のおかげなのに、ありがとうと伝えたくても、伝えられず。
そのもどかしさに、私は何度溜め息を落としただろう。
「椎名先生、どうしてるかな」
校門を目指し自転車をひく悠馬の隣を歩きながら、ふと声にした。
「さあな」
素っ気ない返事に私は苦笑する。
そんな私に、悠馬は機嫌を悪くしながら「辞めたやつの事なんて興味ないわ」と言い放った。