初恋ナミダ。
*いかないで
窓の外に広がる青い空には、緩やかな風に流される白い雲。
それと同じ真っ白なシーツの上には、繰り返し掠れた声で小さく私を呼ぶ椎名先生。
悲しくて、嬉しくて。
「ここだよ」
先生、私はここにいるよ。
顔を覗き込むようにしながら、先生の細い指に自分の指を絡めてしっかりと握る。
すると、先生の唇が動くのを止め、その代わりにふと、まぶたが開き。
「……先生?」
はかなく揺れながら私の姿をとらえた。
まさか目覚めるなんて思ってなくて、心臓が喜びで波打つ。
「先生、わかる?」
椎名先生は、短く言葉を紡いだ私を、意識がはっきりとしてないのかぼんやりと見つめるだけ。
「会いたくて、来ちゃった」
おどけたように本心を口にしたけど、先生の様子は変わらない。
絡めた手に感じる先生の体温は、いまだ熱く。
それが、先生を苦しめてるのだと思うと、私の胸も苦しくなった。