初恋ナミダ。
*友人
カァ、とカラスが鳴いて、私は1人、夕暮れに染まりゆく道を歩いていた。
お見舞いの帰り道。
思い出すのは帰り際の舞子の様子。
今日は昨日よりも楽しげに手を振ってくれた舞子。
行って良かったと、私は自然と口角を上げた。
でも、それも束の間。
今度は、昼間見た椎名先生の寂しげな横顔が脳裏に浮かんだ。
「見間違い……だったのかな」
ひとりごちてみるも、そうではない気がする。
何か心配ごととかあるのかな。
先生だって人間だもんね。
大人だし、色々と悩みとかあるんだろうなぁ。
あんまり見ない表情だったから気になっちゃうけど、ただの生徒が深入りすることじゃない。
そう思って、私は帰路を辿る。
──と、ふいに、愛読している雑誌の発売日が過ぎていたことを思い出した。