初恋ナミダ。
「マジですか~」
「すごいねー、あの男の子の人気。おじさんは名前とかよく知らないけど、最近若い子に人気なんだって?」
「みたいですね。私は好みじゃないんですけどね……」
「そうなの? 昼間買ってった子は相当好きみたいで、3冊買ったんだよ」
おじさんは嬉しそうに話してくれる。
けど、私には悔しいだけ。
くうっ!
せめて2冊にしてくれれば、今私が買えたかもしれないのにっ。
なんなら表紙だけあげるから中身だけ買わせて欲しいくらいだ。
ああ、なんでだろう。
さっきまでは「買うの忘れてたー。明日でもいいけど、今日ついでだし買っておこうかな」くらいの気持ちだったのに。
今は意地でも今日ゲットしたい気持ちになってる。
こうなったら、コンビニをまわろう。
この辺りはコンビニが多いし、もしかしたら一冊くらいは残ってるかも!
善は急げと、私はおじさんに軽く挨拶だけして店を飛び出した──直後。
「おおっと」
誰かの声が間近に聞こえ、同時にドンッと真正面から何かにぶつかる。