初恋ナミダ。


頭の中にそんな言葉が浮かんだら最後。

心を満たすのは寂しいという気持ち。

マイナス思考は心を暗く鬱々とさせてしまうもの。

そしてそれは、大抵の場合が心を弱くさせるだけでいいものを生み出すことはない。

だから私はいつも無理矢理思考をプラスに持っていく。


「大丈夫、大丈夫」


ちょっと疲れたから弱気になっただけ。


身体を起こそう。

家にいるから気持ちが塞がってしまうなら外に出かければいいんだ。

その考えに至った私は、ソファーから起き上がると自室に向かい、クローゼットから白い薄手のニットと花柄のショートパンツを取り出し制服から着替える。

そして、茶色いショルダーバッグを手にすると、玄関へ。

シューズインクローゼットからショートブーツを引っ張り出した時、やっぱり身体が重い気がしたけど、そんなのは街に出れば忘れるだろうと思って靴を履いた。


家から一歩踏み出すと、春の暖かい空気が私を出迎えてくれる。

そのおかげで心がちょっとだけ軽くなって。

私は大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出してから人の賑わう街へと繰り出した。



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