初恋ナミダ。


夕日はいつの間にかその姿を隠し。


「まだ6時半かぁ」


気付けば夜の帳が下りていた。

現在私はファストフード店で休憩中。

夕飯時ではあったけど、食欲が沸かないからドリンクだけを頼んで、窓際のカウンター席に座っている。

ストローを唇に当て、アイスティーで喉を潤して。


……なんか、だるさが増している気がするな、と感じ頬杖をついた時。


窓の外に──


「ほんと、最近よく見るな……」


学校からの帰りなんだろう。

鞄を手に提げ、駅を目指して歩く椎名先生を見つけた。

さすが椎名先生。

横断歩道を歩いてるだけなのに、かっこいいからなんか目立つ。

あ、ほら。

先生とすれ違ったOLさんが振り返ってるし。

背丈もそこそこあるし、やっぱ女ウケいいんだなぁ……なんて観察していたら。


椎名先生の視線が、ストローを咥える私の姿を捉えたようで。


少しだけ目を見開いてから……


何故か。


「そんな顔して何してるんだ」


店内にいる私の前に現れた。


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