初恋ナミダ。
「父は海外出張なので、二週間くらいです。母は明日の夜には」
「そうか。大変だな、ご両親も宮原も」
気遣わしげな声で言われ、シートを貼った私は笑んで見せる。
「平気ですよ。もう慣れてます」
両親は仕事で大変だろうけど、私は別に働いてるわけじゃない。
学校へ行って、適度に妹のお見舞いに行くだけだ。
まあ、家の事をやらなきゃならない時もあるから、面倒だと思うことはあるけど、家族の事情を考えたら仕方ない。
それに……
「多分、一番大変なのは妹なので」
「妹がいるのか」
「はい。今、入院中なんです」
「入院……それは、大変だな」
「だから、熱出してる場合じゃないんですよ私」
お見舞いに行けなくなっちゃう。
そう言うと、椎名先生は少しだけ表情を和らげて。
「あまり、無理はしないようにな」
私の頭をくしゃりと撫でた。
そして、私に横になるように言い、ドラッグストアの袋からスポーツドリンクを取り出す。