初恋ナミダ。


言いにくいことなんだろうかと首を傾げると。


「昨日、お前の家から椎名が出てきただろ」


……ああ、悠馬に見られてたのね。

ということは、電話もきっと何事かと思ってくれたんだろう。


「うん。ちょっと熱が出て」

「椎名が?」

「私が。で、両親出張でいないの知って、少しお世話してくれたんだ」

「……教師がそこまですることないんじゃねー?」

「そう、かも? でも、優しいよね」


私1人じゃ薬も飲まずにとりあえず寝るだけだっただろう。

それで、今日の舞子のお見舞いも微妙な体調で行く羽目になっていたかもしれない。

確かに、成り行きとはいえ教師が生徒の家に上がって看病するのはなかなかないとは思うけど……

私の体調の変化に気付いてくれて、色々と気遣ってくれた椎名先生には、本当に感謝してる。

なのに、私ってば最後の最後に失礼な質問しちゃったなぁ……


ていうか。


「悠馬……なんか顔怖いよ?」



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