初恋ナミダ。

*図書室で



今年のゴールデンウィークは海外出張の関係で父親抜きのものとなった。

母も、せっかくの連休だというにも関わらず、舞子の見舞いの為に病院に行くか、家で持ち帰った仕事をしていて。

休日を満喫したといえるのは、たった1日、私と2人でショッピングに出かけたことくらいだ。


母は「普段頑張ってくれてるから」と、私に服を買い、美味しいパンケーキ屋さんに連れて行ってくれて。

夕飯も普段食べないような高いお店でとった。


新しい服は欲しかったものだし、パンケーキもフルーツが沢山乗ってて凄く美味しかった。

母が会社の付き合いで訪れたことのあるという高級フランス料理店のコース料理の味も感動しっぱなしで。

私のことを思ってくれた母の気持ちはありがたかった。


ありがたかったけど……


本当はね、もっとささやかなもので良かったんだ。


家族が揃ってて。

見慣れたダイニングテーブルを囲んで、母の作った平凡な家庭料理を食べるの。


そんな休日が、今の私の望むものだった。


だけど、そんなことは叶わない。

ちゃんとわかってる。

だから口にせずに、母との時間を楽しんだ。


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