初恋ナミダ。
「悠馬の怪我は? 運動神経抜群の悠馬が怪我なんて、それこそ悩み事があるんじゃない?」
結局大人になりきれず、ちょっと仕返し込みな感じで問いかければ、悠馬は以外にも真面目な顔で天井を見上げて。
「悩み、なぁ……」
そう呟くと「まぁ、ないこともないか」と口にした。
「えっ、あるの!? 悠馬のくせに?」
「待て待て。なんだその"くせに"って」
しまった。
本音がうっかり漏れちゃった。
不服そうな悠馬の視線から逃れる為、私はわざとらしく背中を向けて。
「さーて、少し横になろうかなー」
簡素なベッドに潜り込む。
「逃げるのかよ。つーか、お前上履き適当に脱いで終わらせんなよ」
ブチブチ言いながら、私の脱ぎ散らかした上履きをそろえてくれる悠馬。
普段は適当そうに見える彼がたまーに見せる、実は世話焼き屋さんの一面。
「ありがとう、ママ」
「誰がママだ。ったく、もうちょい女らしくしろよなー」
「十分女らしいでしょ」
失礼な物言いに私が声を返すと、悠馬はまたまたバカにするような笑みを浮かべる。