初恋ナミダ。
「なら、さっきのは?」
こうして更に言及されるのも驚きで。
「私にも何がなんだか」
椎名先生の事も含めて首を傾げてみせると、先生は「……そうか」と呟いて、ようやく表情をいつものものに戻してくれた。
「具合、平気か?」
いつもの空気感に胸をなでおろして、私は小さく頷いた。
「大丈夫です。こんなのすぐ治るから。あ、そうだ。先生が選んでくれた参考書、あれわかりやすくて助かってます。ちょっとだけ数学の苦手意識がなくなったかも」
それは、先生の笑みが見たくて出した話題だった。
だけど……
「もしかして、調子が悪いのは勉強のせいか?」
失敗。
私の話が先生の眉間に皺を作らせてしまった。