初恋ナミダ。
*幼なじみ
思い返してみても、やっぱり不可解だ。
昨日の保健室で、椎名先生がイライラしていた理由はなんだったのか。
先生はイライラしてないとか言ってたけど、してるようにしかみえなかった。
保健室で何やってんだよのイライラかとも思ったけど、なんか違う気もして。
だとしたら、心配したのに〜とか、そっちでイライラ?
それならありえそうだけど、実際のところは先生のみぞ知るわけで。
よくわからないまま、放課後を迎えた私は、舞子のお見舞いへ行こうと学校の正門を通り抜けたところで足を止めた。
別に忘れ物したからとか、用事を思い出したからじゃない。
むしろその方が心穏やかでいられただろう。
私を立ち止まらせ、心を乱す原因。
それは……
「おっ、きたきた。はーるか!」
何故か普通の態度で接してくる悠馬が自転車に跨って私に手を振ってきたから。
私は無言のまま悠馬に軽蔑の視線を送る。
「は、遥ちゃーん?」
引きつった笑顔で私に近づく悠馬に、変わらず冷たい目を向け続けていると、彼もまた頬をひくつかせながら唇を動かした。