【完】わたしの恋のキューピッド
「・・・キューピッドだから!!」


少し間をおいて蓮は答えた。
そう答えるしかなかったようだった。

でも、その目は本気のように見えた。


「だけど・・・」


「大丈夫だから!信じろ!
俺を!真司先輩を!」


蓮はそう言うと、
人で賑わう方に目を向けた。


「・・・ほら!」


私も蓮が向いたほうを見ると
真司先輩が一目散に
こっちに走ってくるのが見えた。


真司先輩は私たちの方まで駆け寄ってくると
私の目の前で止まった。


「あれ?さっき、
蓮君も一緒にいたように見えたんだけど?」


え・・・?


蓮のいるほうを見ると
蓮はばっちりそこにいた。


あ、そっか・・・


私はすぐに蓮は私にだけ
姿が見えるようにしたのだと気付いた。


「き、気のせいじゃないですか?」


「そう?じゃあ、蓮君には会えてないの?」


「は、はい・・・」


「そっか、よかった・・・」


「・・・え?良かった?」


「あ!いや!良くはないか!
だってこんな夜中に女の子一人で!
・・・なにもなかった?」

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