元カレには彼女がいる。でも好きで仕方ない
頬を伝い始めた涙を止めたくて、
でも止まらなくて、降りる予定のバス停よりもだいぶ前の停留所で降りた。


クスクスと笑う声が耳から離れない。
苦しくて痛くて、真っ暗な歩道に立ち尽くしていた。









毎朝迎えに来てくれた。
手を繋いで歩いてくれた。
ギュって強く握り返してくれた。
抱き寄せて優しく包んでくれた。
好きだよって言ってくれた……



好きって…言ってくれたから…




自転車でふたり乗りしたり、
花火をしたり、ブランコに乗ったり。
この夏休みの日々全部…
涼くんにとってなんだった?



わたしが1人浮かれていたのかな?



”奈緒ちゃんとりょうはラブラブ”
たったヒトコトがわたしの弱い心をボロボロにしていた。




らしくない…でも涙が止まらない。
トボトボ歩いてやっと家にたどり着いた。




「咲良!何時だとおもってるの?!」


ママの怒りもどうでもよくて、
顔も見ずに部屋へ向かった。



「咲良?ちょっと…どうしたの?」



「………大丈夫」

消えそうな声で伝えた。


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